どこにでも生えてくる雑草。雑草と一口に言っても、一年草と多年草の違いがあったり、花が生えたり、草姿の可愛らしい植物もあったり、種類ごとに違いがあります。ここではそんな春の雑草を写真つきで紹介します。
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雑草の種類
雑草は、大きく分けて「一年草」と「多年草」の2種類があります。
一年草(いちねんそう)とは
芽が出てから枯れるまでの期間が1年以内の草花を一年草といいます。
一年草には大きく分けて2種類あります。
春に芽吹き、夏から秋に花が咲き実をつけて冬に枯れる「夏生(かせい)一年草」。
もう一つは秋に発芽し、春に花が咲いて実がついたあと夏に枯れる「冬生(ふゆせい)一年草」。「冬生一年草」は「越年草(えつねんそう)」「越年生(えつねんせい)雑草」ともいいます。
多年草(たねんそう)とは
多年草とは、根が残って2年以上生存する草花を指します。
多年草の雑草には地下茎で繁殖するタイプもあり、生育期である春から秋はよく伸びるので、庭や通路などは定期的な手入れが欠かせません。
春の雑草
オオイヌノフグリ
オオイヌノフグリは春の風物詩、立春が過ぎた頃に小さな水色の花を咲かせます。とても可愛らしい草花です。
草丈が10~20cmほどで地面を這うように育ち、とても丈夫で繁殖力が強い植物です。
植物名 | オオイヌノフグリ |
科名 / 属名 | オオバコ科クワガタソウ属 |
開花期 | 2月~5月 |
草丈 | 10~20cm |
種類 | 冬生一年草、越年草 |
カタバミ
カタバミはハートが3つ重なったような葉で、5~9月頃には黄色い小さな花が咲きます。
花後にできる果実は、刺激を受けるとサヤが弾けて四方に種子が飛び散ります。草丈10㎝未満と決して大きい雑草ではないものの、除草が大変な種類の1つです。
地面をはうようにして生育し、繁殖力・生命力が強いことから「片喰紋(かたばみもん)」として家紋のデザインにも使われている植物です。
クローバー(マメ科ジャジクソウ属:シロツメクサ:白詰草)と混同されがちですが、花の形が大きく異なり、別の科の雑草です。
植物名 | カタバミ |
科名 / 属名 | カタバミ科カタバミ属 |
開花期 | 5月~9月 |
草丈 | 5~10cm |
種類 | 多年草 |
スギナ
スギナの地上部(栄養茎)
ツクシ(胞子茎)
春先に出る「ツクシ」はスギナの胞子茎で、春を象徴する野草です。ツクシをとって食べたことがある人もいるのではないでしょうか。しかしスギナは難防除雑草(特に除草が困難な雑草のこと)でもあります。
春になると、胞子をもつ茎のツクシと、光合成で栄養を作る茎のスギナが地上に生えてきます。夏になるとツクシは枯れて、スギナが30~40cmほどに生長します。秋にスギナが枯れてもその根は残り、翌年の春に再び芽を出します。
スギナがいったん生えてしまうと、地下茎を伸ばしてどんどん繁茂し、途中で地下茎が切れてもかんたんに再生できる能力を持っているので、中途半端に掘り起こしてもなかなか駆除できません。
植物名 | スギナ |
科名 / 属名 | トクサ科トクサ属 |
開花期 | 3月~4月(ツクシ) |
草丈 | 30~40cm 10~15cm(ツクシ) |
種類 | 多年草 |
スズメノカタビラ
スズメノカタビラは春に増えるイネ科の代表的な雑草です。
踏みつけに強く、大都会の真ん中、田舎のあぜ道だけでなく、ゴルフ場や芝庭などでもよく見られます。秋から春にかけて発芽し、春から夏にかけてが開花期となっていますが、日当たりの良い暖かい場所ならば通年花を付けます。そのため種子の落下を防ぐのが難しく、根絶が難しい雑草です。
植物名 | スズメノカタビラ |
科名 / 属名 | イネ科イチゴツナギ属 |
開花期 | 通年 |
草丈 | 10~30㎝ |
種類 | 冬生一年草、越年草 |
タンポポ
タンポポは春に黄色の花を咲かせます。
もともと日本に生育するニホンタンポポ(在来タンポポ)と外来種のセイヨウタンポポがありますが、近年では交雑種も見られます。3~9月頃に開花した後、綿毛のついたタネを飛ばして繁殖していきます。ニホンタンポポはタネを飛ばした後に地上部が枯れ、秋に再び新しい葉を出します。地面に落ちたタネは夏に休眠し秋に発芽します。
タンポポは根を深く地中に伸ばし、途中で切れてもその根はかんたんに再生してしまうので、根絶が難しい雑草です。
植物名 | タンポポ |
科名 / 属名 | キク科タンポポ属 |
開花期 | 3月~9月 |
草丈 | 5~30㎝ |
種類 | 多年草 |
ホトケノザ
ホトケノザは春にピンク色の花を咲かせます。
仏様が座るところ蓮華座(れんげざ)に葉の形が似ていることから、ホトケノザと名づけられました。
「春の七草」のホトケノザは、別種の植物のことで、キク科のコオニタビラコ(小鬼田平子)を指します。シソ科のホトケノザは食べられないので注意してください。
どこにでも群生するホトケノザですが除草は比較的容易で、ある程度生長している場合、生長点の3センチ以下を狙って定期的な草刈りをしましょう。
植物名 | ホトケノザ |
科名 / 属名 | シソ科オドリコソウ属 |
開花期 | 3月~6月 |
草丈 | 10~30㎝ |
種類 | 冬生一年草、越年草 |
ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)
正式にはヤハズエンドウですが「カラスノエンドウ」という名が一般には定着しています。
カラスノエンドウは早春に田畑や野原、庭先、道端、公園など、あらゆるところで目にする植物です。ピンクと赤紫の中間のような色の花を咲かせます。葉の先がツルのようになって近くの植物に巻き付きますが、基本的には独立して生長します。
冬を越して3~6月頃に開花した後、サヤの中にタネを作ります。夏前にはサヤごと真っ黒に熟して弾け、種子を飛ばします。他のマメ科の植物同様に根に根粒菌を持っているので、土壌を肥沃にするという特徴があります。
植物名 | ヤハズエンドウ |
科名 / 属名 | マメ科ソラマメ属 |
開花期 | 3月~6月 |
草丈 | 60~150㎝ |
種類 | 冬生一年草、越年草 |
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