「トマトが赤くなると医者が青くなる」といわれるほど、栄養たっぷりのトマト。トマトの栄養素でよく耳にするのがリコピン。有害な活性酸素の働きを抑える強い抗酸化作用をもち生活習慣病、血糖値を下げる、動脈硬化の予防に効果があります。また疲労回復や美肌づくりに効果的なビタミンC、高血圧に効果があるとされるカリウムなども豊富に含んでいます。赤色が美しく、甘みと酸味のバランスがあり、さまざまな料理で欠かすことのできない野菜です。そんなトマトの栽培方法、育て方のコツを紹介します。
種まき
- ポット(12~15cm程度)に3~4粒ずつ1cmの深さに種をまきます。
- 覆土して軽く土を手で押さえ、たっぷりと水を与えます。
用土は市販の培養土を利用すると袋から開けてすぐに使えるので便利です。
市販の苗は、9cmポットの若苗が多いので、12~15cmポットに鉢上げして第1花房の花が咲くまで育苗をしましょう。9cmポッドで種まきした場合も本葉4~5枚の時に鉢上げしましょう。
ポットに根が回ると根が詰まって根鉢がガチガチに固まってしまうことがあります。根鉢が固まったままの状態で植え付けると、畑の土に根がうまく広がっていかずに、定植後の根付きや生育が悪くなるので鉢上げが必要になります。
育苗
- 本葉が出始めた頃、間引いて2本立ちにします。
- 本葉が2~3枚の頃、間引いて1本立ちにします。
- 本葉が7~8枚で、第1花房の花が咲き始めている苗が定植適期です。
ビニール温室などの暖かい環境で育て、充分日光に当てるが、高温になりすぎないよう換気に注意しましょう。
土づくり
トマトの好適土壌pHは6.0~6.5です。
- 種まき2週間以上前に苦土石灰で好適土壌に調整する。土壌酸度計で測定し、pHの数値を1上げるには苦土石灰1㎡あたり200g程度を目安に投入します。
- 種まき1週間前に牛糞堆肥1㎡あたり2~3kg程度、普通化成肥料8-8-8を1㎡あたり100~150g程度を土に混ぜ込んで畝を立てます。
マルチを張っておくと地温確保や雑草抑制になり、後々の管理が楽になります。また乾燥や泥はねを防ぎます。シルバーマルチを使うとアブラムシに効果的です。
畝幅 1列の場合60cm程度、2列の場合120cm程度
条間(列の間) 60cm程度
株間 50cm程度
定植
- 本葉が7~8枚で、第1花房の花が咲き始めている苗が定植適期です。
苗鉢にたっぷり水を含ませ、植え穴にもたっぷり水を与えておきます。根鉢を崩さないようポットから抜き取り、深植えを避けてうね面と同じ高さになるよう植え付けます。
トマトの花は同じ側につくので、花房を畝の外側(作業のしやすい方)に向けて植えると収穫などの作業がしやすくなります。
支柱立て
定植したらすぐに支柱を立て、生育に合わせて誘引します。1株に1本ずつ支柱を立て、1列なら直立型、2列なら合掌型の支柱を組みましょう。支柱は2m程度のものを準備して、手の届く高さに調整して組みましょう。あまり高くすると収穫の時に苦労します。
水やり
トマトは比較的乾燥気味の管理を好む野菜ですが、定植してすぐは根付いておらす乾燥には弱くなっているので2週間ほどの間は、土と苗の状態をよく見て水を与えるようにしましょう。
その後地植えの場合、週に1度雨が降れば水やりをする必要がありません。一週間以上雨が降らず葉が少し萎えたようになったら、水を与えましょう。
またトマトの果肉が肥大している時だけ、土が乾いたら水を与えましょう。収穫が始まれば再び土を乾燥気味にしておきます。
整枝
1本仕立てが基本です。主枝に充分な栄養がいくように、側枝(わき芽)をすべて摘み取ります。
最終収穫段(3~5段)のつぼみが見えたら、その上の葉を2枚残して主枝を摘み取ります。
雨よけ屋根
雨にあたると実割れや病気をおこしやすいので、雨よけ屋根が効果的です。
ホームセンターや通販でも購入できます。
受粉、着果管理
1段目の花房に着果しないと、果実に送られる養分が茎や葉の生長に使われてしまうため、第1花房の第1花を確実に着果させることが重要です。振動受粉(支柱を棒でたたく、開花した花を指で軽くたたく)とホルモン剤を散布します。市販のホルモン剤を2~3輪咲いた花房に散布します。日をあけて重複処理すると、空洞果の発生を助長するため、散布は1花房につき1回のみ、葉や生長点にかからないようにしましょう。
追肥
- 1回目 第一花房についた実がピンポン玉大になった頃
- 2回目 第三花房についた実がピンポン玉大になった頃
畝の肩に肥料を施す(普通化成肥料を1株あたり25g程度)。
摘果
1個1個の実を充実させるため、果実がピンポン玉大の時に1房につく実の数を3果にしましょう。1~2段は3果/房。3~5段は4果/房が基本です。
収穫
開花後50日くらいで実が熟してきます。ガクが反り返ったら収穫適期です。真っ赤に熟したものから順番に収穫します。
野菜は朝から夕方にかけて光合成を行って作った養分を、夕方から夜間にかけて果実に送るので、朝方に収穫するのがおすすめです。
トマトは枯れるまで収穫できますが、5段目以降になると病害虫が出やすくなります。
病害虫
- 青枯病(あおがれびょう)
- 疫病(えきびょう)
- アブラムシ
- コナジラミ
病気は、青枯病、疫病などが発生します。
害虫はアブラムシ、コナジラミなどが発生します。
苗が根付いて育ち始めた頃からさまざまな病虫害が発生するので、農薬を散布して防除に努めましょう。
世界中で愛されている野菜、トマトを育ててみましょう!
上記栽培カレンダー、肥料の数値、株間等は目安としてください。地域や品種、ご自身の畑の土の状態により変化します。 種袋の裏表示 、説明書をご確認ください。
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