年末には大掃除をし、正月飾りを飾ってお正月の準備をします。そして年が明けると家族で新しい年を祝いますが、そもそもお正月とはどういう行事なのでしょうか?またお正月の行事や習慣の意味は?ここではそんなお正月の意味、由来について紹介します。
お正月とは?
元旦(元日の朝)には歳神様(としがみさま)という新年の神様が、1年の幸せや健康をもたらすために各家庭にやってくるとされています。歳神様は「歳徳神(としとくじん)」「正月様」とも呼ばれており、祖霊神であり、田の神、山の神でもあるため、子孫繁栄や五穀豊穣に深く関わり、人々に健康や幸福を授けるとされています。
新年の神様を家族全員でお迎えして、新年を歓び、五穀豊穣に感謝してお祝いをするのがお正月なのです。
初日の出
初日の出
初日の出は、新年の幕開けの象徴です。初日の出と共に歳神様が表れるとされています。初日の出を拝むことは歳神様へその年の豊作や幸せを祈る意味があります。
ご来光(ごらいこう)
ご来光とは高い山、山頂などから見える日の出のことをいい、ご来光を見ると様々な御利益があると言われています。山が高ければ高いほど早くご来光を拝むことができることから、御利益があるといわれています。
初日の出とご来光は違う?
日にち | 場所 | |
初日の出 | 元日(1月1日)の日の出 | どのような場所でも |
ご来光 | いつでも(1月1日~12月31日)の日の出 | 高い山や山頂 |
- 初日の出は、元日(1月1日)の日の出のことで、場所はどのような場所でも。
- ご来光は、1月1日~12月31日の日の出で、場所が高い山や山頂から見る。
お年玉
現在のお年玉はお金が主流ですが、もともとはお餅でした。
歳神様は、新しい年の幸福や恵みとともに、私たちに魂を分けてくださると考えられてきました。 家にいらした歳神様は鏡餅同様に餅玉に依りつき、餅玉には「御魂(みたま)」が宿ります。この歳神様の御魂が宿った餅玉を、歳神様が帰られるタイミング(松の明け)に「お下がり」として家長が家族に「御年魂」「御年玉」として分け与えました。
配っていた餅が、お金になっていったきっかけは、昭和の高度経済成長といわれています。それぞれの家庭で餅をついて歳神様へそなえること自体が徐々に減少し、その代わりに手軽に準備できるお金に変わっていったと言われています。
お雑煮
家長が家族に御年玉として分け与えた、歳神様の御魂が宿った餅玉を食べるための料理が「お雑煮」です。餅を食べることで体に新年の力(年魂)を取り込みました。
お屠蘇(おとそ)
お正月に無病長寿を願って飲まれるお屠蘇。邪気を屠(ほふ)り魂を蘇生らせるという意味があります。
本来、お屠蘇とは「屠蘇散(とそさん)」または「屠蘇延命散」と呼ばれる5~10種類の材料を配合したものを漬け込んだお酒のことです。
初詣
初詣は、新年を迎えて初めて神社やお寺などに参詣することで、新しい一年の健康や幸せを祈願します。
初詣の由来は「年籠り(としごもり)」と言われています。神社の氏子の家々の家長が大晦日の夕方から元日の朝にかけて、氏神様のいる神社にこもり新年の豊作や安全を夜通し祈るという習慣が、大晦日の夜の「除夜詣」と元日の朝の「元日詣」との2つに分かれ、元日詣が今の初詣の原形となりました。
初夢
夢の内容で1年の吉凶を占う初夢。初夢とはいつ見た夢のことを言うのでしょうか?
初夢の日付には3つの説があります。
- 大晦日から元日
- 元日から2日
- 2日から3日
大晦日から元日にかけては、夜も眠らないで新年を迎えることがあるので、「元旦から2日」という説ができたようです。「2日から3日」説は、書き初めや初商いなど多くの新年の行事が2日に行われることから、その夜に見る夢を初夢とするようです。
3つも説があり、必ずこれが正しいという定義はないみたいです。「元日から2日」元日の夜に見た夢が初夢というのが一般的のようです。
初夢に見ると縁起が良いものを表すことわざに「一富士二鷹三茄子(いちふじ にたか さんなすび)」があります。有名な言葉ですが、「四扇五煙草六座頭(しおうぎ ごたばこ ろくざとう)」という続きがあります。知っていましたか?
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書き初め
もともとは、宮廷や寺院における年頭の儀礼として行われてきたもので、若水(元旦に初めて汲んだ水を神棚に置き、神様にお供えしたもの)と呼ばれる水で墨を摺り、新年の恵方に向かって詞歌を書くというものでした。江戸時代以降、寺子屋が普及したことで庶民にも広まっていったと言われています。
書き初めは1月2日の「事始め」にします。この日に事を始めると、上達が早く長続きすると言い伝えられています。事始めである1月2日に、書き初めで抱負や願い事を書くのには、「書を書くことが上達するように」という願いが込められています。
七草粥
1月7日は、五節句の始まりである「人日(じんじつ)の節句」です。
人日は、言葉の通り「人の日」です。中国では元日からそれぞれの日に獣畜を当てはめて占う風習があり、正月の1日を鶏の日、2日を狗(犬)の日、3日を猪(豚)の日、4日を羊の日、5日を牛の日、6日を馬の日としていました。
そして7日は人の日とされ、その日を人を大切にする節句にし、中国の風習に日本の風習が結びついたと言われています。
この日を「七草の節句」とも言い、七草粥
を食べる風習があります。七草粥とは、春の七草ともいい、セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロを入れたお粥のことです。正月の祝い酒やごちそうにより弱った胃を回復させるために食べるとも言われています。
1月7日は、中国では7種の野菜を入れた羹(あつもの)を食べる習慣がありました。これが日本に伝わり、日本では古来から年の初めに野に出て芽を出し始めた草を摘み取る若菜摘
みが行われており、この風習と結びついて七草粥を食べて邪気を祓い、一年の無病息災と五穀豊穣を祈るとされる七草の風習として現代でも行事食として親しまれています。
鏡開き
歳神様は、毎年お正月にやってきて、人々に新年の良運と、1歳分の年齢を与えると考えられてきました。
鏡開きとは、松の内(歳神様が家々に滞在する期間)が過ぎて歳神様を見送りしたら、歳神様が滞在していた依り代(よりしろ=居場所)であるお餅を食べることで、霊力を分けてもらい、1年の良運を願う行事です。
「割る」という言葉を使わないのは、縁起が悪いから。「開く」は末広がりで縁起が良い言葉です。
鏡開きの日は、一般的には毎年1月11日です。地方によって違いがあります。
- 松の内が1月7日までの地方は、11日に行います。 関東地方など
- 松の内が1月15日までの地方は、15日または20日に行います。 関西地方など
どんど焼き
どんど焼きは、小正月(こしょうがつ 1月15日)に行われる火祭り行事です。
旧暦ではこの日が新年最初の満月の日にあたり、満月と神聖な火による浄化の力で、集落の人々の1年間の災いを払い、豊作や商売繁盛、家内安全、無病息災、子孫繁栄を願います。
地域によっては様々な名称で呼ばれています。
- どんと焼き 東北
- 道祖神祭 長野県・山梨県
- さいと焼き 静岡県
- 左義長 近畿・北陸周辺
- とんど焼き 関西
- 鬼火たき 九州
どんど焼きの由来は、左義長(さぎちょう)とも言われています。左義長とはもともと平安時代の宮中行事で、正月15日の夜に正月飾りや御札などを炊き上げるものでした。青竹を束ね毬杖(ぎっちょう)3本を結び、その上に扇子や短冊などを添えて、陰陽師が謳い、はやしながら焼いていました。これが民間にも広く伝わり、今のどんど焼きに至ると言われています。
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