ニンジンは緑黄色野菜の代表で、βカロテンやビタミンB2、ビタミンC、食物繊維など栄養素が豊富に含まれます。免疫力の向上や抗酸化作用による美肌効果などにつながると言われています。生食や炒め物、煮込み料理、漬物など、あらゆる料理で重宝される野菜です。そんなにんじんの栽培方法、育て方のコツを紹介します。
にんじんの種をまく時期は大きく分けて春まきと夏まきがありますが、家庭菜園では夏まきで秋~冬に収穫する栽培がおすすめです。夏まきより春まきの方が発芽は楽ですがとう立ち(花が咲く)してしまうリスクが大きく、夏まきの方が害虫被害が少ない、とう立ちしにくいといったメリットがあります。
土づくり
にんじんの好適土壌pHは5.5~6.5です。
- 種まき2週間以上前に苦土石灰で好適土壌に調整する。土壌酸度計で測定し、pHの数値を1上げるには苦土石灰1㎡あたり200g程度を目安に投入します。牛糞堆肥1㎡あたり2~3kg程度を土に混ぜ込みます。未熟堆肥は股根になりやすいので使わない方がよいでしょう。
- 種まき1週間前に普通化成肥料8-8-8を1㎡あたり100g程度、過リン酸石灰を1㎡あたり30g程度を土に混ぜ込んで畝を立てます。 間引き作業があるので畝幅は2列までの方が作業性がいいです。
畝幅 1列の場合40cm程度、2列の場合60cm程度
条間(列の間) 20cm程度
種まき
にんじんは移植できないので、種は畑に直播きします。にんじん栽培の8割は種まきで決まるとも言われています。種をまいて発芽までがうまくいけば、ほぼ成功と言ってしまっても過言ではないくらいに大切です。5~10日で発芽しますが、それまで水を切らさず乾燥しないように注意が必要です。
- 土が乾燥している時は水をまく。
- べとつかないようになってからまき溝をつける(幅2~3cm、深さ1cmほどの溝)2列の場合20cm間隔を空ける。
- 種を2~3cm間隔で条まき(すじまき)。条まきとは種まきの方法の一つで、土に直線の溝を付けその溝に沿って種を蒔くこと。
- 薄く(5mmほど)覆土して手で押さえる。
- 種が流れてしまわないように気を付けて水やりをする。
- 乾燥に弱いので不織布や敷きわらをかけて湿度をキープします。
- 芽が出るまでの約1週間は土が湿った状態を保つように水やりをします。
種まきから5日~10日以上経っても発芽しなければ、もう1度種をまき直したほうが良いかもしれません。
間引き
間引きは2回ほど行います。
- 本葉が3~4枚開いた頃に、株間が5〜8cmになるように間引く。
- 本葉が5~6枚開いた頃に、株間が10〜15cmになるように間引く。
間引いにんじんは、葉の部分も栄養満点で美味しく食べることができます。
追肥・中耕・土寄せ
1回目と2回目の間引きの後、追肥・中耕・土寄せをします。
条間に肥料を施し(普通化成肥料を1㎡あたり50g程度)、ニンジンは初期成育が遅くこのタイミングで雑草が見えていなかったとしても必ず土を中耕(表面を軽く耕す)、土寄せ(肩の部分が地上に出すぎている場合は根首が隠れるように)をしておきます。土の中に空気が送り込まれ、排水性もよくなり、生育が促されます。
水やり
発芽した後は土の表面が乾いたタイミングで水やりをして、必要以上に水をたくさん与える必要はありません。生育後期に入ったら、基本的に水やりの必要はありません。何日も雨が降らないときや、土が乾燥し過ぎているときにだけ水を与えましょう。
収穫
種まきから100~120日ほどで葉が茂ってくる頃が収穫期になります。根元を少し掘って太さを確認し、肥大したものから順次収穫します。品種にもよりますが、地上部に出ている根の直径が4〜5cmくらいのものを、茎の下の方を持って真っ直ぐ上に引き抜き収穫します。
霜が降りだすと葉が枯れて生長が止まります。しかし根は気温の影響を受けにくく耐寒性があるので、にんじんが隠れるように土を掛けておけば、 翌年の2月頃まで長く収穫を楽しめます。
病害虫
- うどんこ病
- 黒葉枯病(くろはがれびょう)
- ネコブセンチュウ
- アブラムシ
- ヨトウムシ
- キアゲハ
夏の高温多湿の時期に黒葉枯病が発生しやすいです。風通しの良い場所で育てる、水はけの良い土壌で日当たりを良くしてあげることが大切です。
害虫の被害では、キアゲハやヨトウムシなどの芋虫、アブラムシなどが発生します。発生したらすぐに駆除してください。
料理に彩りをもたらしてくれる食卓に欠かせない野菜、にんじんを育ててみましょう!
上記栽培カレンダー、肥料の数値、株間等は目安としてください。地域や品種、ご自身の畑の土の状態により変化します。 種袋の裏表示 、説明書をご確認ください。
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